入社後にやりたいこと
前回は、学生時代に打ち込んだことについて触れました。詳細はこちらをご覧下さい。

さて、様々なエントリーシートの形式があるなかで、どのシートにもあるのが、「入社後にやりたいこと」についての設問。今回はこれについて見ていきます。
入社後にやりたいことの考え方・書き方
企業が面接を行う意図は、以下の2つありました。
① 目の前にいる就活生と一緒に働きたいと思うか
② 本当にその企業の志望度が高いのか(入社してほしいか)
「入社後にやりたいこと」は、これらのうち②の比重が大きいものになります。これを踏まえ、どのようなことを書けばよいかを見ていきましょう。
企業と自分の将来を想像する。
入社後ですので、未来形の話をしなければなりません。そのため、その企業で働いているあなた自身の姿を想い描いて書くことがまずは重要です。
あなた自身を想い描くといっても、あなた中心に「自分がこれをしたいから、やらせてくれ!」と自分目線のみでの未来図では、企業は当然納得しません。企業にも、企業の目指す将来像が存在します。組織として何を成し遂げたいか、どのように発展していきたいか、という想いを持って活動しています。
就活生であるあなた自身の想いだけでなく、企業がどのように歩もうと考えているかや企業の仕事を理解した上で、「入社後にやりたいこと」を考えましょう。
企業の目指す将来像はどうやって調べられるか。これがまさに企業研究ですね。
企業は必ず事業計画を立てます。そして、ホームページ等で公表しているので、そういった事業計画を見るとよいでしょう。
短・中・長期プランを練る
例えば、企画・マーケティングに携わりたいと思って就活に取り掛かったとします。
大手メーカー企業等の場合、入社後すぐに企画・マーケティングに携わることができる企業は少ないでしょう。企画・マーケティング部は花形という企業が多いです。そのため、新卒から企画・マーケティング部に配属するのはほんの一握り程度でしょう。
営業所が各地方にまたがって存在しており、まずは営業からスタートし、商品知識や顧客ニーズを的確に捉えられるようになってから、企画・マーケティング部に異動するのが、常套手段になります。
一方、ベンチャーやスタートアップ企業の場合、入社後すぐに企画・マーケティングの部署に配属される可能性は大手に比べると高い確率で有り得ます。
このように、入社後にできることは、企業の規模など外部要因によって大きく変わります。企業によって異なるからこそ、自分がどういうステップアップ・成長をしたいか、それが目の前の企業ならどのように実現できるかも考えなくてはなりません。
そのため、「その企業における短期、中長期のプランを考える」ことをまずはしてみましょう。
その企業で最終的にどう在りたいか。まずは長期的に20年後の姿を思い浮かべます。その20年後の姿に向けて、10後にどう在りたいか、5年後には?3年後には?を考え、短期として1年後のことを考えることをお勧めします。
そうすることで、その企業での最終プランを見据えたステップアップ形式の未来予想図を描けます。大きな目標を立て、それに近づくための小さな目標を立てていくことで、具体的なイメージができますし、志望動機に説得力を持たせることができます。
「なぜ、短・中長期プランを練る必要があるか?」
それは、最終面接が役員面接だからです。社長や役員はその会社を成長・発展させたいはずです。そういったことから、「将来管理職として会社を任せられる存在か」という視点で面接を行います。ここで多いのが「10年後、20年後、うちであなたはどうしたいですか?」という質問です。これに答えるためにも、短・中長期プランは練るようにしましょう。
入社後にやりたいことを書くコツ
① 企業理念や特徴に則って
② 自分の将来計画を
③ 夢を持って語る。
これです。
① 企業理念や特徴に則って
上述しているように、企業の考えやその企業だからこそできることを書くようにしましょう。管理職や役員になりたい、技術職のスペシャリストになりたいなど、どこの企業でも言える一般的な内容であったとしても、その企業で何を身に着けて、どんな業務に携わって管理職になるのかを具体的に明示するとよいです。
② 自分の将来計画を
上記は、管理職やスペシャリストになりたいと書けと言っているわけではありません。大切なのは、その企業でどんな将来プランを持っているのかということです。その企業だからこそ、自分はこんな未来を実現したいという具体的な将来ビジョンを述べるようにしましょう。
③ 夢を持って語る。
例えば、アパレル企業で「将来は宇宙開発事業にも携わって宇宙服を作りたいです!」なんていうあまりにも突飛な夢はNGですが、企業の理念から逸脱していなければ、夢を持って語ることは悪いことではない、と私は考えます。将来の実現可能性が高いことに越したことはありませんが、将来の実現可能性が低かったとしても、夢を持って生き生きとしていることが、新人には必要です。企業が進もうとしている方向性をしっかりと見定めて書きましょう。
なお、経営者の方と話をする機会があった際、今の若者は現実主義すぎるという話をしていました。理想ばかり語るのも違いますが、現実ばかり見すぎて身動き取れないのも視野が狭くなるだけで、つまらないです。社会人という現実をまだ経験したことがない状態ですから、理想を掲げても問題はありません。
入社後にやりたいことを書き方
もちろん、書き方は「結論→根拠→締め括り」です。詳細はこちらをご覧ください。

① 結論=やりたいこと
② 根拠=やりたいことの理由
③ 締め括り=企業の特徴を踏まえた理由
① 結論=やりたいこと
まずは、「やりたいこと」を書きましょう。その企業で何をやりたいかを簡潔に述べてください。短期というよりも長期(10~20年後)、せめて中期(3~5年後)をイメージして書くとよいです。
やりたいことが明確になっていて、部署や事業名、商品名などが分かっているのであれば、個別具体的名称を用いて書くとよいです。やりたいことがない場合には、「○○の第一線で活躍したい」など、自分の在りたい将来像を書くのも一つです。
② 根拠=やりたいことの理由
過去の経験を踏まえて書くと書きやすいです。こんなことを経験し、こんなことを感じたからやりたいことはこれなんだということが伝わればよいです。ここでもやはり、感情+事柄(経験)ですね。
③ 締め括り=企業の特徴を踏まえた理由
根拠(過去の経験)を踏まえて、「その企業だからこそやりたい」という理由を書きましょう。つまり他社との違いであるその企業の特徴を踏まえることがポイントです。その企業にどのような特徴があり、その特徴から自分のやりたいことがどのように実現できるかを書くとよいです。最後に決意表明などがあればなおよいでしょう。
「私がやりたいことは○○です。その理由は、△△を経験し、□□の大切さを知ったためです。貴社では、☆☆を行っており、私の△△の経験を活かすことができると感じました。貴社で私の◎◎という特徴を活かし、○○に挑戦することで貢献したいです。」
このような流れです。
いかがでしょうか?
やりたいことと言っても、あなたの独りよがりなものではなく、「その企業だからこそ」を踏まえて、書くように心がけてください。その企業だからこそを知るためにはやはり企業研究。そして、企業どうしの比較も重要になってきます。日本の雇用も変わりつつありますが、まだまだ終身雇用の風潮があります。そのために、「入社後にやりたいこと」であっても「その企業で」というのが前提としてあるんだということを認識しておきましょう。インターンシップ、OB訪問、説明会等々、「この企業でやりたい事って何だろう?」という視点があるとよいですね。