業界は絞るべきか
前回は、エントリーシートの誤字脱字について、お伝えしました。詳細はこちらをご覧下さい。

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さて今回は、業界は絞るべきかということについて。
唐突ですが、キャリア支援をされる方々と話す機会があり、業界を絞るべきかという話に発展したため、ブログを読んでくださっているあなたにも共有です。
業界は絞らなくても構わない。
結論からいうと、最終的に業界を1つに絞る必要はない、です。ただ、就職活動を本格的に始める前から業界を絞ることは避けましょう。
それはなぜか。この結論となった理由は、「学生の業界を絞る理由」にあります。
学生の、業界を絞る理由
① BtoBにあまり興味がない。
② 学んだことを活かしたい。
① BtoBにあまり興味がない。
業界を絞る一つの理由が、BtoBに興味がないからということ。
これについて、我々キャリアに関わる者としての見解は、「興味がないではなく、知らない。」のではないかということです。
BtoB、つまり企業向けに行う事業をイメージができないから、興味を持てない。
これは至極当たり前のことですね。
BtoC、つまり消費者向けの企業はたくさん知っています。なぜなら、学生のあなたも、消費者として消費活動を行っているから。購入したり、サービスを受けたりしていますよね。そして、コマーシャル(CM)でたくさん目にしますよね。コマーシャルは消費者向けに行われるのがほとんどです。だからこそ、消費者である皆さんも目にするわけです。
目にするからこそ、何となくでもイメージができる。それがBtoCです。中でも人気なのが、航空業界や食品業界です。イメージができるからこそ、チャレンジ精神的にやってみたい!という気持ちが生まれるわけです。
② 学んだことを活かしたい。
「学んだことを活かしたい。」この気持ち、痛いほど良く分かります。けれども、学んだことを活かせる職種はそもそも少ないですし、学んだことは、基礎知識であり仕事そのものではありません。学びと実際の業務とは違うということです。頭に知識を詰め込んだとしても、その知識通りに事が運ぶ仕事は、ないとは言わないまでも、少ないでしょう。
学んだことそれ自体よりも、学びの過程や学んだことで得た能力に注目をしてほしいです。学ぶ過程で、どのようなことを一生懸命頑張ったのか、「単位を取得する」上で何を頑張ったのか、どんなことに熱中できたのか。学業という本業から何を得たのかということを考えてください。
この、学んだことをどう活かすかということについては、以前にも触れております。詳細はこちらをご覧ください。

業界を幅広く見ることのすゝめ
以上のようなことから、業界は幅広く見た方が、自分が何をしたいか、何ができるかを把握できるようになります。以前の記事で併願先について触れました。その際にもお伝えしましたが、併願先は業界や職種が違っても問題ありません。詳細はこちらをご覧ください。

ただ、必ず「なぜ他の業界、併願先を受けたのか」は問われます。
この質問への答えで、就職活動つまり今後の社会人生活への意気込みが分かる、といっても過言ではありません。人間としての厚みも違うなと感じます。
同じ業界しか受けていないとしても、「なぜこの業界なのか」「ほかの業界はなぜ受けないのか」と問われます。そして、こちらの方がハードルが高い。なぜなら、その業界であるという明確で論理的な答えを求められているからです。「学んできたから。」だけでは、明確な答えとはなりません。学んできたことの中でもどのようなことに興味があり、何をどのように活かしたいかを相手は求めています。
様々な業界を受ける人と、就活を始めるから1業界にこだわる人の違い
様々な業界を受ける人と就活を始める前から1業界にこだわる人の違いは、「人間性」です。
面接指導を行っていると、「なぜ他の業界を受けたのか」という問いに自分の考えを基にしっかりと答えられている方は、その発言に説得力を感じます。その人の就活観や仕事観、将来のなりたい人間像が明確にイメージできるためです。また、就活を通して自身の考えに厚みが増したのだなと感じるからです。何より、幅広く業界を見るということはビジネスにおいて大切な視野の広さを感じさせます。
一方で、就活を始める前から1業界にこだわる人は視野が狭く感じられます。そのこだわりの理由が大学で学んだことを活かしたいという理由であれば、なおさら内向きになっているように感じてしまいます。もちろん、これは一概には言えません。こだわりを持つことは悪いことではないからです。この点はご了承ください。
例えば、公務員とくに公安系を目指す人は幼少の頃から公安系の職種に就きたいと考えている人が多く、それを公安系人事の中には望んでいる自治体もいます。民間企業においても、専門領域が細かく分かれている技術職や福祉職の場合にはこだわりが大切なこともあります。
ただ、視野の広い狭いでいえば、企業は視野の広い人材を求めるのは間違いありません。組織全体が発展していくためには、広い視野で全体を見渡せることの方が有利に働くことが多いためです。
以上のことから、就職活動を本格的に始める前から業界を絞ることは避けましょう。業界を幅広く見て、最終的に業界を適切に絞るのはよいことです。
適切な絞り方とはなにか、見ていきましょう。
業界の適切な絞り方
業界は、細かく見ていけば160ほどあります。その業界一つ一つに応募するなんて到底不可能。そのため、ある程度絞ることは大切です。そのためにも業界研究は欠かせません。
① 業界の種類を知る。
② 興味のある順に業界を順位付けする。
① 業界の種類を知る。
まずは、自分の価値観を知ってください。その上で、自分の価値観や就職観に合う業界を探していきます。この記事で言いたいのは、「知らない」=「興味ない」にはならないで、ということです。知らないことほどもったいないことはありません。知ったうえで、取捨選択をしましょう。知らない中にあなたに本当に合う業界が見つかるかもしれません。
価値観の探し方や業界を知る術は以前の記事に記載していますので、そちらもご覧下さい。



② 興味のある順に業界を順位付けする。
業界について知ったら、今度は興味のある順に業界を順位付けしましょう。留意点としては、あくまで興味がある順であるということです。興味がある順=自分に合っている順ではありません。
自分の中の基準に従って、優先順位をつけ、業界を絞っていきましょう。そして、本当にその業界が自分にとって正しいと思えるものかを説明会やOB訪問を通して調べてください。
「自分の中の基準」は、あなたの価値観、就職観です。つまり、就職の軸。この就職の軸に従って優先順位をつけてください。
そして一つの業界に絞れたなら、それはそれで1つの正解です。複数の業界に絞れたなら各業界のメリットやデメリットを考えてそれぞれの業界の志望理由を明確にしていきましょう。
いかがでしょうか?
決して、思い込みやイメージで業界を絞らないでください。大切なのはあなたの価値観です。
就職の軸がないまま業界を絞ると、もやもやした状態になり内定をもらってもしっくりこないです。そのまま入社しても1年後には辞めているでしょう。
業界を正しく選定する。そのためにまずは就職の軸、価値観を明確にしましょう。