選考評価基準は求める人材像にあり
前回は、選考の評価基準の指標ともなる社会人基礎力について触れました。詳細はこちらをご覧下さい。

この社会人基礎力を本選考の選考評価基準の参考としている企業が多くあります。
では、就活生であるあなたが、選考の評価基準を知る術はあるのでしょうか?今回は、それについて見ていきます。
求める人材像から行動特性を探る。
説明会やホームページで目にする求める人材像。これは一昔前だと、チームワークができる人、リーダーシップ能力がある人と大雑把な表現をする企業が多くありました。10数年前、私が新卒だったときを思い出すと、少なくとも私が行った企業はそういう企業がほとんどだったなと記憶しています。
それに対して、最近の求める人材像は、例えば「自己の持つ能力を発揮して自律的に行動し、成果に結びつけられる人」のように、具体的になっています。
実はこの求める人材像は、就活生のあなたに対する募集要項の意味を持つと同時に、選考の評価基準や人材育成の指標でもあるのです。
選考評価基準としての求める人材像
応募してきた就活生が、本当に企業に合う人材か。それを確かめるためのものが求める人材像です。
募集要項として求める人材像をあなたに提示するということは、やはり求める人材像を元に、あなたが本当に募集要項に見合う人かを確かめる必要もあるということです。
とはいえ求める人材像を基に評価するといっても、評価する面接官によって、ものの見方や考え方が異なります。ぶれない採用をするためには、その異なる見方や考え方を統一化する必要が出てきます。そのために、面接官の誰もが分かるよう選考評価基準を求める人材像に組み込み具体化させるわけです。
よって、求める人材像を具体化する上で、企業はまず選考評価基準を定める必要があります。では、どのような観点から評価基準を作るのか。それが以下のような観点となります。
・社会人としての自覚や態度を持っているか。
・自社で活躍しうる行動特性を持っているか。
・自社で活かせる知識・スキルがあるか。
・自社で働きたいという動機・意欲はあるか。
・自社で活躍しうる基礎処理能力を持っているか。
・どのような性格・価値観を持っているか。
・興味・志向はどのようなものか。
こういった観点で選考評価基準を定めます。
自覚や態度であれば物事に責任感をもって取り組めたかを就活生に聞けばある程度判断できます。
知識やスキルは、あるに越したことはないですが、新人であれば今持ち合わせていなくても仕事を通して身に着けてくれれば問題ないでしょう。
動機や意欲は、明確な志望動機かどうかを聞けばわかります。基礎処理能力や性格・価値観は、筆記試験や適性検査である程度のことがわかります。
そして、一番大切になってくるのが行動特性です。目的・目標に対して、どのような行動を起こしたのか。どのような成果を得たのか。これを知ることで、ビジネスに応用した際のその人の活躍度合いを知ることができます。
そして、この行動特性を知るために行われるのが、コンピテンシー評価型面接です。このコンピテンシー評価型面接については、詳細はこちらをご覧下さい。

コンピテンシー評価型面接が日本の面接の主流になっていることからも、行動特性が重要視されていることが分かります。
そして、どのような行動特性の人材を募集するかというのが書かれているのが、「求める人材像」になるわけです。選考評価基準により、どのような人物を採用したいかを定め、行動特性を明確化することで、採用にブレが生じないよう統一化させることができる。
それを明示するのが求める人材像だからこそ、上記の例のように具体的に人材像が書かれているのですね。
就活生のあなたがやるべきことは、エントリーシートや面接で述べる際には、求める人材像から分かる行動特性を元に、求める人材像にマッチしたエピソードを具体的に述べることです。
人材育成の指標としての求める人材像
求める人材像は、職種や部署によっても当然異なります。そのため、ひとつに限らずいくつか人材像を列挙している企業が多いです。チームで行動するわけですから、多様な人材を求めてもいます。
いくつか列挙しているからといって、すべてに当てはまる必要はありません。「求める人材像」に成長できる素質があることも、面接の評価のひとつにはなります。そのために社員育成研修があったりもします。
どのような社員に成長したいか、将来の人物像はどのようなものかもしっかりとアピールをしましょう。そのためにも、10年後、20年後のその企業における将来像を明確にしておくことが必要です。内定がゴールではなく、その先の未来を見据えて就職活動をしてください。
行動特性を知る面接の質問方法
行動特性を知るには、上述したようにコンピテンシー評価型面接です。この面接手法は、就活生のあなたの過去の行動を質問して聞き出すというものです。その回答と、求める人材像として設定した行動特性を比較します。
例えば、「自己の持つ能力を発揮して自律的に行動し、成果に結びつけられる人」を求める場合、「自己の持つ能力を発揮して自律的に行動し、成果に結びつけたことがあるか?」とは質問しません。
「学生時代に最も力をいれて取り組んだ事はなんですか?」と質問し、そのエピソードを深掘りします。直接的に聴くよりも、深堀をして聞いた方が、本音を引き出せ、学生の本質にたどり着けるからです。
一般的に、質問に対するファーストアンサーは、オブラートに包んで話されます。それに対し深掘りするための質問に対する答えであるセカンドアンサー以降になると想定外の質問もあり答えに行き詰まってきます。そうなった方が学生の本音や価値観が見えやすいために、深堀りをするのです。
「なんでそれを行ったの?」「その時の役割は?」「そのとき何を感じたの?」など根掘り葉掘り聴いてきます。深堀り質問に対する答えに対して「なんで?」と理由をしつこく聴いてくることもあります。
難しいことはありません。圧迫面接とは違うので、やって来たことやその理由を素直に話せばよいのです。こういった深掘り質問に答えられるためには、自分自身になぜなぜと問い掛けるようにしてください。
なぜを繰り返すことについて、以前にも触れています。こちらもご覧下さい。

いかがでしょうか?
求める人材像に選考評価基準は隠されています。その隠された選考評価基準、中でも行動特性をしっかりと見極め面接対策をしてください。なぜを聴かれ深掘りされるのですから、あなた自身でもなぜを考え深掘りするようにしましょう。