当社の強みと弱みは何ですか?と問われたらどうしたらよいか
前回は、「あなたにとって働くとは?」と問われた際の考え方についてお伝えしました。これに答えるには、経験を基にしたあなたの考えや価値観を明確化すること。そして、企業の理念や今後の方向性を確認しておくことが必要です。詳細はこちらをご覧ください。

さて、企業の理念や方向性を知る上で、もう一つ知っておくべきが企業の特徴です。今回はそれについて。
強みを知るだけでは後悔を生む可能性も!
「当社の強みと弱みを教えてください。」
「当社をPRしてください。」
これらは、民間に限らず公務員でも聞かれる質問です。なぜ問われるのか。見ていきましょう。
業界研究等、研究ができているか。
やはりまずは、業界研究をはじめとした、組織に関わる研究ができているかを確認する意図があります。
組織の強みに関しては、基本的には誰もが答えられる内容のはず。「企業のこんなところが良い!」だから入りたいと思えるわけですからです。ただし。福利厚生など、企業の本質からは程遠いことを強みに挙げるのは、NGかつナンセンスです。
就活生のあなたが業界研究をする際には、「その組織のよい面」にばかり目がいきがちになるのではないてしょうか?
けれども、実際の面接では、「その組織の弱み」を聞いてくるケースの方が多いのです。
なぜ組織の弱みについて聞いてくるのか。
その組織が今変革期にあり、第三者であるあなたの意見を今後に生かそうと考え謙虚な思いで聞こうとしている場合がほとんどです。
この他、組織とあなたの双方のためというのもあります。憧れや組織の良い面にばかり目がいってしまい、悪い面について後から気付いたことで、「こんなはずではなかった。。。」と後悔するようでは、お互いのためになりません。
そんな後悔先に立たずの状態にならないよう、良いも悪いも含めてしっかりと理解をしてもらってから組織の一員として迎えたい。そんな意図を持って弱みも聞いてくれるということもあります。
「うちの弱みは?」と聞かれない限りは、その組織の短所について触れる必要はないです。ただし、弱みの部分まで研究をしているというのは、良いも悪いも含めてその組織をしっかりと知った上で応募してくれている。その組織を好きなんだという証明にもなるのです。
どんな組織にも一長一短がある。その長の部分はもちろんのこと、それだけでなく短も含めて研究をするのは、それだけでもアピールにつながるということを覚えておきましょう。
業界全体、組織全体を包括的に見て強み弱みを考える。
上述のように、「当社の強みと弱み」を聞く意図は、「業界研究をはじめとした研究をしっかりとやっているのか」ということを確認するということです。それは、良いも悪いも含めてすべてを理解した上で志望してほしいという思いもあるが故です。
そして、その良いも悪いも、「客観的な根拠やデータを基に」調べているのかということを知るためにわざわざあなたに自分達の強み弱みを聞くのです。そうすることであなたの本気度や冷静に物事を見る力なども推し量れるためです。
とはいえ、弱みについては伝える際に配慮は必要でしょう。自分たちの悪口を言われてよい気分になる人はいません。
以上をふまえて、伝える際の工夫点をお伝えします。
① クレーマーにならない。
② 業界の動向を踏まえた企業の位置づけの観点で。
① クレーマーにならない。
弱みを放す際は、クレーマーにならないことを意識してください。「ここの店舗の接客はダメ。」「無理」「有り得ない」といった言葉は単なるクレーマーになります。クレーマーとして処理されてしまうと、要注意人物扱いになりかねないので、気をつけましょう。
② 業界の動向を踏まえた企業の位置づけの観点で。
「業界全体の動きに対して、その組織はどうか」という観点で話すと良いです。また、他社との比較をするのもよいでしょう。
例えば、「業界シェアNo.1の企業と比較して国内の顧客分析手法には目を見張るものがある一方、海外事業が弱い」など、組織全体としての強みや弱みを述べるようにしましょう。
何か商品やサービスの販売をしているならば、そういったものの固有名詞を用いて話すのもありです。ただし、商品やサービスに対して「ここがよい」「ここがダメ」では単なる消費者としての意見になりますので、注意が必要です。あくまでも顧客満足度など生産者の立場での発言が求められます。
なお、短所については、それに対するあなたの考えや解決策も問われますので、解決策も考えておきましょう。
業界研究で強み弱みをあぶり出す。
「客観的な根拠やデータを基に」調べているのかを確認すると上述していますが、では、どのように客観的な根拠やデータ取得したらよいのか。研究方法について見ていきましょう。
① 各種媒体を使う。
② 情報を足で稼ぐ。
① 各種媒体を使う。
業界地図や業界動向サーチはもちろんのこと、四季報
や企業のIR情報、決算報告書は目を通しておきましょう。これらのことについては以下も合わせてご覧ください。


② 情報を足で稼ぐ。
やはり有効になるのが、自分の足で情報を稼ぐこと。
インターンシップやOB訪問、説明会や職場見学、社員インタビューなど、積極的に社会人に会い組織を知りましょう。これらのことについてはこちらも合わせてご覧ください。


情報を各種媒体で得、自分の足で稼ぎ組織の強み弱みをあぶり出したら、大切なのが、必ずその先輩社員や人事に確認し意見をもらうことです。
自分が得た情報が正しいのか、自分の考えた解決策が、適切か。先輩社員にアドバイスをもらうことで、いっそうリアルな意見とすることが可能です。何より取り組み姿勢を評価されるでしょう。
参考:公務員のPRについて。
某元宮崎県知事が自らを「宮崎県のセールスマン」と称していましたが、これは本当にその通りだと感じます。
公務員は、国の、県の、自治体のPRをするための広報マン、営業マンです。若干話が逸れますが、公務員が不祥事を起こすとすぐにニュース沙汰になるのは、これが原因だからでしょう。
特に自治体の面接においては、この「自治体の営業マンとしての自覚を持っているのか」という視点で、「うちの自治体をPRしてください。」などと問われます。
そこで、公務員面接の指導において、この質問をすると、必ず返ってくるのが、
「自然が豊かで。」
「人が良心的で。」
のような一般的なもの。
そんなのを聞きたいのではありません。なぜなら、どこでも同じようなことが言えるから。
では、なにを話せばよいか。見ていきましょう。
① 固有名詞を盛り込む。
② 自治体の一番の情報源は、まちそのもの。
① 固有名詞を盛り込む。
PRをするなら、やはり固有名詞です。山、河川、道路、商店街、公園、各種施設、駅、特産物やB級グルメに至るまで、その自治体に関わる固有名詞を調べておきましょう。固有名詞をふんだんに使って、PRすることが望ましいです。
② 自治体の一番の情報源は、まちそのもの。
固有名詞を知るのもそうですが、今その自治体がなにに力を入れ、なにが問題点なのかを確かめるには、訪れるのが一番です。
企業の場合、ある意味閉鎖的といえます。気軽に会社の中に入ることも難しいですし、職場見学をしても見せられる箇所が少なかったりという場合もある。
一方、自治体の場合は、一歩まちに出れば情報がそこら中に溢れています。バリアフリーが整備されていたり、コンパクトシティ化されていたり。道が狭く歩きづらかったり、自転車が大量に放置されていたり。良いも悪いも、まちを見れば分かります。まちの掲示板を見ればイベント情報も確認できるでしょう。
そして必ずやってほしいことが、住民インタビューです。その自治体の良さや問題点は、住民が一番感じています。そんな住民の方々から良いも悪いも吸い上げることで、PRにいっそう説得力が増すでしょう。公務員の本来の役目はそこにあるはずですしね。
ホームページで各種計画を見て施策をチェックするのはもちろんですが、自治体に足を運ぶことが、PRするには最も有効です。足を運び見聞きしたものを固有名詞を用いながら話すことでができるからです。
いかがでしょうか?
企業の長所や短所は、聞かれなかったとしても、調べることに意義があります。良いも悪いもすべてを知ることで、納得して入社すれば、入社後の後悔や早期退職に至るリスクを減らせます。入社する納得間を得られます。あなたが包括的に判断できるよう、悪い面も含めて企業と向き合いましょう。