崩れ行く雇用慣行に対応しよう!
前回は、この年始の過ごし方として、情報の整理と今後の検討についてお伝えしました。詳細はこちらをご覧ください。

さて、今後の検討として、将来の在りたい自分を予測しようとお伝えしました。将来を予測するにあたり、大切なのはどのような経済社会になっているかということです。そこで今回は、キャリアの視点で訪れるであろう将来についてお伝えします。
ジョブ型雇用が広がりつつある。
かねてから日本の雇用慣行として、終身雇用を前提とした職務や勤務地を限定しない正社員を雇用する形態が主となっています。これをメンバーシップ型雇用と呼んでいますが、この考え方が現在、見直されつつあります。そこで、注目されているのが、ジョブ型雇用。このジョブ型雇用は、欧米に多く、職務や勤務地を明確にし、専門の能力を磨いていく働き方です。このジョブ型が今後主流になるのではないか。そんな噂が巷に流れています。実際のところ私もそう感じます。
メンバーシップ型では、対応しきれない社会情勢となっている。
メンバーシップ型が悪いというわけではありません。その組織で人が成長していくことは、組織そのものの成長にもつながるので、成長という意味ではこの成長も悪くない。長年の経験はトップを目指すうえでは必須だからです。階層別の研修を受けたり、様々な異動を経て、その組織で必要な能力を向上させれば、その組織になくてはならない人材になるでしょう。
ただし、これからの時代。それだけでは社会で生き残れないと言われています。その理由に「多様なニーズが常に生まれている。」ことが挙げられます。AIが台頭し、働き方も変わってきている。そんな変化に組織も対応する必要性が出てきます。他業種にもサービス内容を拡充し、業態も変えていかなければ生き残ることができない。これはつまり、社員に求める能力も社会の変化により変わることがあり得るのです。
このことからも、その組織でしか通用しない能力を身に着けたところで、他業種や業態変化によりその能力を活かしきれないということが十分に考えられます。
ジョブ型雇用を視野に入れ、能力を磨こう。
ジョブ型雇用は、職務を明確にする。つまり、職種ごとの採用枠を設けるということになります。これにより、専門能力を身に着けることができれば、自分の能力を活かせる環境に常に身を置くことができます。いつ所属している組織に変化が起こるか分かりません。もしかしたら全く違った業種に変わっている可能性だってある。自分の仕事がなくなることだって可能性としてはあり得るのです。そんな時、もし自分を活かすことができる能力を身に着けておけば、どの会社に移っても活躍することが可能になるのです。即戦力として必要な人材を採用することができれば、組織同士の競争力にもつながるでしょう。
現在、働き方改革が進む日本だからこそ、ジョブ型雇用は促進した方が望ましいでしょう。同一労働同一賃金の普及の促進には職務採用が必要となりますし、ダイバーシティとして女性や高齢者を活用するには、そういった方々のニーズに答えて勤務地や時間を限定した働き方を促進する必要があるでしょう。
これからの社会を見据えたキャリアを考えよう。
いきなりジョブ型の考えに切り替わるのではなく、しばらくはメンバーシップ型とジョブ型の併用となると考えられます。ただ、採用活動だけに関わることでもないのです。今の就活生が社会人としての経験年数が上がれば、採用活動に限らず雇用全体としてジョブ型に完全移行する可能性は高いといえるでしょう。構造そのものを変えなければならないからです。そんな時、即時に対応できることが大切です。
今の就活生のあなたが考えるべきことは、志望する組織に入ることのみを考えてはいけないということです。自分の適性は何か、どのような専門能力を磨きたいかを考えておくことは必要でしょう。今の大学の教育カリキュラム上、大学の中だけでキャリアを考えることは難しいと言われています。そのため、社会を知る行動を自ら主体的に取ることは必須と言えるでしょう。
これは、インターンシップやアルバイトだけがすべてではありません。社会人と触れ合うということを意識すれば、それは至る所で経験できます。大人たちと積極的に触れることを意識して留学をされた方や新たにスポーツを始めたという方も中にはいます。
出会いは新たな出会いを生む。そして、様々な人に触れていく中で社会を知り、仕事を知ることができます。そして、その仕事をするための能力は何が必要かを知れば、その能力を身に着けるための行動だって起こすことが可能でしょう。どんなに就活が前倒しとなっても、早期終了となっても、大学4年生になったら就活終了となるわけではありません。社会人1年目としてスタートするための準備として必要な能力を身に着けることだって大切になるのです。それも含めて就職活動と言っても過言ではないでしょう。
いかがでしょうか?
ジョブ型の考えが浸透すれば、個々人でどこでも働けるようなスキルを主体的に磨いていくことが求められます。自分のキャリアは自分で作る。組織に頼ることだけでは、自分のキャリアを作っていくことは難しいということを肝に銘じておく必要はあるでしょう。